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ぼくのメジャースプーン(辻村深月)

2009年09月11日 21:01

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)
(2009/04/15)
辻村 深月

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「みんな、自分勝手だよ」
「うーん、人間ていうのは、もともと自分のことしか考えられない生き物なんだって。この間読んだ本にも出てたよ」
 金属のはまった前歯を出して、ふみちゃんがにかっと笑った。
「人間って、絶対に他人のために泣いたりできないんだって。誰かが死んで、それで悲しくなって泣いてても、それは結局、その人がいなくなっちゃった自分のことがかわいそうで泣いてるんだって。自分のためにしか涙がでないんだって、そう書いてあった」



兎が無残に殺されているのを発見したあの日、ふみちゃんの心は壊れてしまった。
僕には何が出来るだろう。僕に出来る事は何?僕には『力』がある。
犯人に接触出来るチャンスは一度だけ。期日は一週間後。
さあ、僕はなんと望む?

この本の主人公は小学四年生の男の子。他人を思いやれる優しい子。
実は彼には不思議な力があります。それは他人を一度ずつ操れる力。
…というと、とある『ギ』から始まって『ス』で終わる力が出てくるアニメを思い出す人もいるかもしれませんが、とりあえず順番としてはこの本が先ですから!
それに力の内容も少し違います。こっちの力は正確には『二者択一を迫る力』です。
つまり「~しろ。そうしなければ―することになる」という命令形です。この能力は物語の中で『条件ゲーム提示能力』と呼ばれています。
それにこのお話は世界なんていう大仰なものが舞台ではありません。
この力で主人公が望むことはただ一つ。ふみちゃんの心を壊した犯人に反省してほしい。もしそれが出来ないなら罰を与えたい。でも、一体どんな罰を与えればいいんだろう?

この本の半分は優しさで出来ています。
そんなキャッチコピーをつけたくなる。ちなみに残りの半分の半分は人間の身勝手さで、残った四分の一は…最後のどんでん返しに向けての伏線かな。
全編を通じて登場人物を慈しむ気配が感じられます。著者は優しい人なんだなぁというのを心から感じる。
肩胛骨は翼のなごり』が蒼ならば、彼女の作品は夕焼けの前の黄褐色の光に染まっています。
辻村深月は私が大好きな作家さんの一人です。

最後に冒頭の引用について。
そう、人の行動はすべて自分が理由になっている。
でも「あの人がいないと自分が悲しい」のは、そこに愛があるんじゃないかな。
ま、その人を好きな理由を考えていくと、やっぱりエグイほどの自己中が見えてくるんだけどね☆
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    人の罪を人が測る:ぼくのメジャースプーン

    ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)作者: 辻村 深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/04/15メディア: 文庫 辻村深月の作品を読むのは初めてだったが、本書は読み応え十分。 これだけの作品を作る作者なら、他の本も読んでみたいと強く思わせる力を持った一冊。




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